August 09, 2007

遠い向こうの世界。

眩しいとかむうっとするとか、そういう問題じゃない。
ここ最近の南国は狂ったように太陽が近くよどんでいる。
狂。けものへんにおう。
獣のように王のごとく燃えろ。それが狂うなのか?
狂い死ぬように生きろと、ある人が私に言った言葉を思いだしながら、
今日の午後、姶良の向こうの村に車を走らせた。
目指すは、10年前から誰も住んでいない民家。
さびれた鍵を助手席に置き、
国道10号線を加治木方面に車を走らせると、
どこまでも広がる快晴の下、右手に青々と水をたたえた錦江湾。
正面にどんと構えた豪快な桜島が見える。
やがて国道から県道に入り、
幾つかの山を越え、やがて部落に着いた。
このあたりからゆっくりと車を走らせる。
3つ目の角に目印の看板が見えた。やがて民家が視界に入った。
坂の上にある古びた木造の家は死んだように眠っていた。
さびれた鍵を鍵穴に差し込むと、じりっと音がしてカチンと開いた。
ドアを開けると、腐ったような空気が流れ出し、
家の中に靴のまま足を踏み入れる。
床が抜けそうなほどぎしぎしと音がする。
10年前から時間が止まったままの家は、不気味な光景だった。
台所には食器だながそのままあり、食器もそのまま入っている。
カレンダーは10年前の3月。
時計は午前10時20分を指したまま。
炊飯器も冷蔵庫も昨日の続きのよう。
テレビも本だなも扇風機も、
さっきまで誰かが使っていたかのように、確かにそこに存在していた。
人が暮らしていた息づかい匂いが、
10年経過した今もきっちり主張しているその空間に、
私は言葉を失い、冷や汗が出て転びそうになった。
ひとつひとつの部屋をじっと見ながら、
辿りついた最後の部屋に埃まみれの仏壇があった。
どこかでみたような風情の方々の写真が、何枚も飾られている。
そっと近づき覗き込む。それが誰だか私にはわからない。
供養する為、バックにしまった。目的完了。
これ以上長くいると、10年分、飛ぶような気がして、
慌てて家を出て鍵を閉めた。
大きく深く息をした。





m-17_02412 at 22:15 
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